もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 ずっと弟の手術を担当してくれる医者としてしか見ていなかったのに、初めて彼をひとりの男性として意識する自分がいた。

「私はそんな、別に……」

「たとえば、ですが。同室の患者さんのお願いをなんでも聞かなくていいですよ」

「えっ?」

 急に話が変わって一瞬ついていけなくなる。

「いろいろと耳に入ってきまして。雑用係でも小間使いでもないのだから、織部さんが応える必要はありません」

 高鳴っていた鼓動が次第に落ち着いていく。

「あまりよくなかったでしょうか。皆さん、困っていらっしゃるようだったので……」

< 81 / 281 >

この作品をシェア

pagetop