もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 カーテンで仕切られた一番奥のベッドに声をかける。

「大和、着替えとタオルを持ってきたよ。開けて平気?」

「あ、うん」

 カーテンを開くと、なぜか大和がきょとんとした顔で私を見つめる。

「なに? どうしたの?」

「なんかあった? 顔、めちゃくちゃ赤いけど」

「えっ」

 もしもまだ顔が赤いままだとしたら、その理由はひとつしかない。

 思わず荷物を取り落とし、自分の顔を手で押さえる。

「い、急いで来たせいかな?」

「そこまで急がなくてもよかったのに。いつもサンキュ」

 ねぎらいの言葉はあまり耳に入ってこない。

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