もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 背中をさすってくれて、立ち上がるときに触れ合った蒼史さんの手のぬくもりを思い出しただけで、じわじわと私の身体に熱が広がっていく。

「姉ちゃん? おーい」

「あっ。う、うん、なに?」

「なにって。そっちこそどうしたんだよ。ぼんやりしすぎ」

 大和に笑われるくらい、私の頭は彼でいっぱいになっていた。



 その数日後、私はなんとも気まずい修羅場に巻き込まれてしまった。

「私の気持ちを知っていて優しくしてくださったんですよね? なのにどうしてそんなひどいことを言うんですか!?」

「俺が今まで誠実に接してきたのは、医者と患者の関係だからだ。君を特別視していたからではない」

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