もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 彼はストイックな人なのだろう。オールマイティーに平均点を取るよりは、ひとつのものを百点に仕上げたいタイプかもしれない。

 言動を見る限り納得はいくけれど、残念に思う気持ちが強かった。

 抱いていた淡い想いが儚く散っていく。

「魅力があるのも大変ですね。いつか皆さんも先生の気持ちがわかってくれるといいんですが」

「都合のいい話しか聞く気がないようだからな」

 すかさず辛辣な答えが返ってきて、蒼史さんがはっとしたように自分の口を手で押さえる。

「失礼。織部さんに対して怒っているわけではありません」

「もちろんわかってます。でも、本当に大変そうですね……」

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