もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 彼の様子から察するに、困っているというよりは迷惑に感じているようだ。

「またこんなことがあったらいつでもお手伝いします。私でよろしければ」

 下心はないはずだと自分に言い聞かせる。

 弟のために心を砕いてくださっている先生の悩みごとを解消したいだけで、あわよくばなんて考えていない。

 この流れだと私も彼が嫌がる女性のひとりに数えられてしまうだろうかと思っていたら、蒼史さんは形のいい唇をゆっくりとほころばせる。

「だったら頼んでもいいですか」

 そう言って蒼史さんは私の手を取った。

「俺と偽装恋愛をしてください」



◇ ◇ ◇



「うあぅ」

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