もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 気の抜けた声が聞こえ、意識が現実に戻ってくる。

 過去に思いを馳せてすっかりぼんやりしてしまった。

 ベッドを見ると、優史が大きく伸びをしてからまた眠りに落ちたところだった。

「……懐かしいな」

 優史の胸からお腹にかけて、とんとんと優しく叩いてやる。

 この子を寝かしつけるときにはこれが抜群の効果を発揮した。ただなでたり、手を握ったりするよりも安心するようだ。

 あの後、蒼史さんに偽装恋愛を提案された私は、動揺しながらも承諾した。

 演じる場所は主に病院だ。だから風紀を乱すようないちゃいちゃを披露するわけにはいかなかった。

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