もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 そうはいっても、私が特別な演技をする必要はなかったといっていい。

 蒼史さんが人の多い場所でなにかと私を気にかけ、私と話すときだけあの素敵な笑顔を解禁しただけで絶大な効果があったからだ。

 大和にも何度か蒼史さんについて聞かれたけれど、手術や入院に関して相談に乗ってもらっているだけだと言ったら納得されて終わりだった。だから今に至るまで、大和は優史の父親が蒼史さんだと思っていない。

 大和が鈍いのもあるし、蒼史さんが情報を与える先を上手に選別していたのもある。

 そういうわけで私たちの偽装恋愛の関係は大和が退院するまで続いた。

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