もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 ……そして退院日を翌日に控えた夜、私たちは浅かった関係を深めてしまったのだ。

 きっかけ自体は、蒼史さんの同期である内科の先生からデートに誘われたからだろうと思う。

 彼が廊下でうっかりばらまいた書類を一緒に拾って以来、なんとなく顔を合わせるたびに挨拶を交わす仲になったからだろう。

 優しくてとてもいい人だったし、温かみのあるまっすぐな性格は好感が持てた。

 もしも私が先に蒼史さんと出会っていなければ、彼との未来を考えたかもしれない。

 でも私は偽装恋愛中に彼のいいところをたくさん見つけてしまった。

 たとえ偽物の関係だろうと手を抜かず、誠実に私と接してくれるところ。

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