あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い
 
 「お腹すいてない?バーでいつも少し食べてるよね。だから準備したんだけど」
 
 「ええ、ありがとう。頂きます。城田さんは食べたの?」
 
 「ああ、適当に空いた時間に食べてるんだ。今日は夕方頃食べたからまだお腹すいてないんだよ」
 
 横顔をよく見ると日に焼けている。

 ハンドルを握るワイシャツを捲った腕は筋肉隆々で見とれてしまう。


 「で、どこに向かっているんです?」
 
 「はは、君は僕を信用してるんだな。今頃聞いてくるなんて」

 
 そういえば、発進してすでに十五分くらい経ってる。
 
 「僕の秘密基地。楽しみにしてて」
 
 そういうと、車を走らせた。


 薄い灯りが見えてきた。

 近づくと、たくさんのビニールハウス。

 そして、大きな建物。

 一角に車を止めると、エンジンが止まる。
 
 「着いたよ」
 
 彼に言われて、キョロキョロ。

 そして、車を降りた。
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