ぼくの話をしようと思う




『どのくらい歩いて、ここまで来た?』



ぼくの方を見て、兵隊さんが言った。



『…さぁ、でもかなり歩きました』



兵隊さんは明らかに年下だったけど、でも生まれた年を考えると大先輩だ。



だからぼくは、自然と敬語になった。



『でもあんまり疲れてないでしょ』



言われるまで意識してなかったけど、たしかに歩いた距離から考えれば不自然なほど、疲れてない。



『天国では、体が軽くなるんだ。ぼくはもう慣れてしまったけど、新入りならラクだろ?』



『慣れるんですか』



『そりゃあね、ずっとここで暮らしていれば、これが普通になるよ』






…ずっとここで暮らしていれば…。



そう言って、兵隊さんは遠い目をした。





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