ぼくの話をしようと思う
『でもここって、やり残したことをやれるんですよね』
『そうだよ』
『じゃあ、ずっとここで暮らしているということは、兵隊さんの未練は、まだ果たされていないということなんですか』
『…そうなるね』
兵隊さんは、やさしく微笑んで言った。
その顔を見たら、なんか妙に切なくなってね。
だからぼくは、
『なにかぼくに手伝えること、ありませんか』
って聞いた。
『ええ?』
兵隊さんはすごいびっくりしてたけど、ぼくは本当に助けてあげたくなったんだ。
でも、見事に一蹴された。
『新人さんは、自分のことだけ考えてればいいんだ』
それからまた、やさしい顔をして言った。
『ぼくのほうこそ、手伝えることがあるかもしれない。だから、きみの話を聞かせてよ』
って。