君がたとえあいつの秘書でも離さない
「ああ、女将。久しぶりだね。父達は結構お邪魔しているみたいだけど」
「そうですね。今回はそのお部屋を匠様にとお父様から言われていますので、ご用意しました」
「え?なんでここに来ること知ってるんだ?柿崎か……」
「……ふふふ。まだ、お父様には及ばないようですね」
「そうだな。いつになっても及びもつかない遠い人だよ」
そう言うと、私の方を見てにっこりする。
「はじめまして。匠様がお小さい頃から当家の宿をご利用いただいております。これからよろしくお願い致します」
女将は綺麗なお辞儀を私にしてくれた。
「え?」
「匠様が女性とふたりでおいでになったのは初めてです。この宿へお連れになったということはご両親に知られても問題ないということ。そうですよね?匠様」