君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 苦笑いして女将と私を見る彼。
 
 「こちらこそ、お世話になります」
 
 私も深くお辞儀を返した。
 
 「どうぞこちらへ」
 女将に促され、離れへ歩き出した。

 渡り廊下からのお庭が新緑で美しい。
 そして、調度品の素晴らしいこと。
 
 その日は、観光する時間がなくなってしまったので、宿で温泉にゆっくり入って休もうと話していた。

 広い、二間の部屋。
 奥に露天風呂がついているようだ。
 
 「ごゆっくりどうぞ」
 お茶の準備をして女将が下がった。
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