あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした

「先輩は苦しそうでした。それが貴方は…っ！毎日幸せそうに見えてたってことですか？」
幸希先輩がどれだけ苦しんで…一人で耐えてきたのか…僕にはわからない。
わかってあげられなかった。
何も教えてもらえなかった。
もっと聞いてあげればよかったのに。
僕は……。
「幸希は毎日…笑ってた…。その笑顔は…？」
きっと幸希先輩は苦痛と重圧…様々なプレッシャーから自分を守るために"笑顔"という仮面を被った。
笑顔でいることで自分を守って今まで耐えてきたんだ。
でも……。
「先輩は笑ってましたよ、僕といる時も。けど、先輩は…もう笑えなくなったから飛び降りたのではないですか？」
「笑えなくなった？」
本当にこの人は何も…幸希先輩のことなんて何一つわからないんだな。
自分のたった一人の娘なのに……。
僕は心の中で幸希先輩に同情の年を抱いた。
「幸希先輩を自分の物のように扱う。そして母親にまで暴力暴言の数々。クラスでもいじめられているんですよ？本当に知らないんですか？」
「…そ、んな馬鹿なっ！！」