悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
ロベールはステファニーをくるりと自分の方に向け目を合わせて微笑むと
「あなたが私のそばにいてくれる事、それだけで私は幸せですよ。言いたい人には言わせておけば良いのです。」
と宣った。
「でも、ロベールには気になる方がいらっしゃるのでしょう?その方はあきらめるの?」
「あきらめませんよ?」
「は?王族以外には側室は持てないわよ?」
「ふふふ、その必要はありません。」
「ずっと愛人にでもしておくつもり?」
ステファニーの眉間に段々とシワが寄ってくる。
「あなたはマリア嬢の気持ちは見抜くことが出来るのに、私のことはさっぱりなのですね。」
小さなため息を吐いて俯いたロベールは、残念がっている。
ロベールがそんなふうになる理由が分からず、ステファニーも困惑気味だ。

「マリアと王太子殿下はわかりやすいもの。お互いに思っているのが一目瞭然よ。でもあなたは…。」
「結構長く一緒に居ると思うのですがね?」
「そ、そうね。…そう言えば不思議だったわ。」
ロベールは近衛騎士の任務の傍ら、ステファニーの護衛もしていた。マリアと会うために休日は費やしていたし、他の令嬢と会う時間などなかったはずだ。
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