悪役令嬢は最後に微笑む


 それにこんな酷いアーサーに対しても、味の好みと猫舌な彼のためにメイドに対しても注意して、王家の者により良い物を提供するようにと背中を押していた。
 
 全てリサリルの不器用な優しさからくる行動に、嫌がらせなんて言わせない。


「き、昨日は披露会に出るなって閉じ込められたのよ!?」


「昨日リサリルは、俺と一緒に過ごしていた。家まで送る際に神殿の前を確かに通ったが、彼女は敷地内には一切入っていない。それこそ、神官達に協力を仰いだんだろう。聞けば簡単に教えてくれそうだがな?」


 バルの鋭い視線に、ひぃっと顔を青白くさせた神官が二人。確かに……簡単に情報を差し出しそう。

 
「それに貴様らが言う宝珠とはこれのことだろう?生憎、俺が取り返しに伺ったまでだ」


 懐から琥珀色の宝珠を堂々と取り出したバルは、いとも簡単に片手で宝珠を割った。

 粉々になった破片の中から綺麗な指輪が出てくると、それをそっと私の薬指にはめる。


「ようやく楔が解けたのだから、君にようやく愛を伝えられる」


「バル……?」


「リサリル――俺の妃になってくれないか」


 突然の申し出に頭が働かなくなるけど、私は込み上げてくる自分の素直な気持ちのままに力強く頷いた。



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