悪役令嬢は最後に微笑む


 素直になれるあなたの傍にずっと居たい。

 出会った時から、そう思っていた。

 
「でも、私にはまだやらなきゃいけないことが残っている。大精霊様を守る使命を果たさなきゃ――」


「安心しろ。それは出会った時にもう果たされている」


 どういう意味だろうと首を傾げていると、怒りに震えたアーサーが爆発したようにバルの元へとやって来ると彼の胸ぐらを掴んだ。

 一番人気のキャラの面影は何処にもない。

 会場内に居る者全員がアーサー達を非難の目で見つめ、彼らは居場所を失っていた。
 
 
「お前は一体何者だ!この無礼者め!」


「貴様は一体誰に対して物申しているか分かっていないようだな」


「なにをっ――!」

 
 怒りに我を忘れて狂うアーサーに、バルは渾身の一撃を食らわせるように言い放つ。


「我が名はバル・リヒド。古の契約に基づきこの国に加護を与え、繁栄をもたらしてきた精霊王だ」


 その言葉を食らったのはアーサー達だけではない。

 初めて知ったバルの正体に、私までも目を見開いた。


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