捨てられる前に、最後にひとつよろしくて?


 自分達がモデルになっているということがまだ救いなのか何なのか。

 今は何処かに穴があったら、一生そこで過ごしたい気持ちだ。

 私を怒らせてしまったと勘違いするクラデスが謝ろうと近づいてくるタイミングで、寝室の扉が大きく開かれた。


「クラデス殿下?!」


 入ってきたカイは、何かあったのかと身構えたが、寝台で繰り広げられている私達を見て血の気を引かせていた。

 傍から見たら、乱れたドレス姿で半泣き状態の私が殿下に迫られているとなれば、間違った解釈をしてもおかしくはない。

 どちらを止めに入ったらいいのか慌てふためくカイに、クラデスは事態を説明し始め、私の正体を見事に晒した。



「えっ!?先生なんですか?!俺、大ファンで!!この前の出店にも、隠れて参加しました!」


「ほらね!マージュ、君の作品は本当に素晴らし――」



 恥ずかしさと怒りが爆発した私は、手に取った枕を手に取り、見事二人の顔面にヒットさせる。

 あまりの枕の重たい衝撃に低い唸り声を上げた二人に、私はお構いなく叫んだ。


「もうこのまま私を捨ててください!これが最後の願いです!!」


 その声は客室だけでなく、廊下にいた侍女達の耳にも届いた。

 一時は私達の関係が危ういのではと噂されるようになったが、そんな噂は愛の力で消し去った。
 
 後に、とある一国の王子と令嬢の婚約破棄を賭けた戦いの物語が巷で流行るのは、私がお腹に新たな命を宿しながら執筆作業に追われる日々を送ったその先のお話。





 FIN.

< 24 / 24 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:39

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
公爵令嬢である私、 エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と 残酷な事を突きつける婚約者、 王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、 何度も繰り返していることに気が付いたのは 〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、 毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、 殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、 殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているなら もう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、 まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ▽ ▽ ▽
宿敵魔王は元カレでした。

総文字数/9,143

ファンタジー12ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 彼氏のスマホに 知らない女からのメッセージを目撃。 オマケにここ最近ずっと連絡が取れない。 黒だと判定した私は彼氏に別れを告げーー 呆気なく、死んだ。 それを思い出したのは勇者アイリーンとして、 魔王を討伐するための聖剣を引き抜いて 盛大に転んだ時。 いざ、魔王討伐しに行くと…… そこに居たのは前世の元カレでした。 \異世界転生ラブコメファンタジー/ ▽ ▽ ▽
召喚魔法失敗しました!?

総文字数/72,191

ファンタジー277ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
確かに失敗したはずだった。 真っ黒になった床が何よりの証拠。 それなのに―― 『三千年の封印がようやく解けた……か』 な、な、なんと…… 悪魔を召喚してしまったようです。 オマケに勝手に契約まで結んできて。 しかも古い契約方法で…… 私のファーストキス奪われましたぁ!? 「このド変態野郎っ!!!」 *** いじめられっ子の 落ちこぼれ魔法使い リーシェ・クロウ × 忠実(?)な悪魔 ウィリー 『俺の全てはお前のものだ』 「いらないわよあんたなんか!!」 『そう恥じるな。昨夜だってお前 俺の寝顔を……』 「勝手にベッドに入り込んで来たのは あんたでしょっ!」 *** 私の世界がガラリと変わる。 そして…… 密かに動き出す影。 そして嘘偽りのない真実を知る。 結んだ契約から動き出す私の物語。 魔法×主従関係×そして…… *** START 2017*3*18 GOAL 2017*4*26 2017*5* 3 カテゴリー別ランキング 最高 8位 感想*レビュー 感謝致します。 それでは異世界の旅を楽しんでください ↓↓↓

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop