求愛一夜~スパダリ御曹司の旦那様に独占愛を注がれています~
結婚指輪は彼に群がる女避けになるだろう。でも残念なことに日本に置いてきた。

大事なものだし、失くしたり傷をつけたくなかったからだ。私の考えに暁人も従い、挙式に使った指輪は日本でお留守番をしている。

暁人が絡める指に僅かに力を加えた。その途端、私は我に返る。

あーあ、何言ってるんだろう。

いまのは駄目だ。彼が悪いわけじゃないのに責めるような態度だった。人間が出来た彼はこんなことでは怒らない。でも、ちらっと目線を横に投げる。

瞬間、私は小首を傾げた。歩を止めた彼が空いた右手で口元を覆っていたからだ。

なんだろう、この反応は?

暗がりでよく見えないものの暁人の顔が薄らと赤い気がした。彼はお酒に強いし、アルコールがまわってもこれほどにはならない。
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