求愛一夜~スパダリ御曹司の旦那様に独占愛を注がれています~
不可解に感じて端整な顔をじっと窺うと、彼が唐突に声を放った。

「美月、走って帰ろう」
「えっ、なんで?」
「いいから」

目を瞬かせた私をよそに、暁人は私の手を掴んだまま走り出す。その疾走は宿泊先のホテルまで続いた。そして彼はドアを開けるなり、性急なキスで私の唇を奪いにくる。

「んっ……」

こんなにも不意打ちのキスは珍しい。
戸惑うままに壁に押しつけられ、熱い舌を差し入れられる。

暁人はキスが上手い。瞬く間に口内が甘く占領され、深みを増すキスに没頭していく。

息継ぎの度に見つめ合って、情欲を宿した瞳に捉われたらもう身体が勝手に疼いた。
 
「美月、ごめん。今夜は無茶をさせると思う」
「いいよ。暁人の好きにして……」

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