月へとのばす指
誰も触れたことのない肌は、白くて滑らかで、そして想像通りに甘かった。唇と舌で、首筋から鎖骨にかけて、そっと触れていく。
同時に、久樹の手は、服の上から唯花の体をなぞっていた。手のひらに程よくおさまる胸、くびれた腰、引き締まった太ももを何度も往復する。そのたび、唯花は小さく息を吐いて身をくねらせた。
「……っ、は……はぁっ」
息だけでもだえる彼女の様子に、次第に、久樹の中の興奮も増してゆく。もっと、彼女をもだえさせたい──そういう声を出させたい。
ブラウスのボタンに右手をかけ、ひとつずつ、少し焦った気持ちで外していく。布地をかき分けると、彼女の肌と下着に触れた。シンプルなデザインのブラジャーが、彼女らしいと思った。
顔よりも首筋よりもさらに白く浮かび上がる胸元に、吸いついた。思わず強く吸ってしまい、んっ、と唯花が耐えるような声をもらす。
「……あ、ごめん」
きっと、肌には赤い跡が付いているだろう。嫌がられるかもしれない。
だが顔をのぞき込むと、唯花は少しの間の後で、首を横に振った。
「だいじょうぶ、です」
「……いいの、続けても?」
「はい」
こくりとうなずきながら、唯花は答えた。
久樹は思いきって、気になることを伝えた。
「その、こういう時まで丁寧語は、やめてほしいな」
「え」
「普通に話して?」
そう言うと、唯花は、迷うように目を伏せた。いきなり言われても、と顔に書いてあるかのようだ。
そのまぶたに、久樹はそっとくちづける。視線を上げた彼女と目を合わせてから、唇を重ねた。
「唯花、好きだよ」
ささやくと、唯花の目がまた潤んだ。かすかな明かりをも反射してきらきらと輝くその目に、惹きつけられる。
誰も触ったことのない、なめらかな肌を撫でながら、ブラジャーの肩紐を下ろしていく。胸を包む布地から、白い乳房がふるりと、柔らかそうに揺れて姿を現した。
つんと尖った、淡いピンク色の先端にキスした瞬間、唯花が鋭く息を飲んだ。
「────っ!」
今のような、わずかな刺激にも感じるほど敏感になっているのか。それとも、もともと感じやすい性質なのだろうか。
わからないが、彼女の今の反応が、久樹の男としての欲望を煽ったのは確かだった。乳房を手のひらで包み込み、乳首にしゃぶりつく。
「あっ!」