完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
腰の曲がった老婆が井村を見て、深刻な顔つきで千紗に告げた。
「千紗。この人を逃したら、あんたにはもう未来永劫彼氏はできないよ。そして地中のモグラのごとく一生日が当たることはない。運気は下がり続けるであろう。スッポンのようにくらいついてこの人を離さないようにしないと」
「み、未来永劫!?」
好き放題言う親戚たちの間を縫って千紗の母が井村の隣に来た。
「騒がしくてごめんなさいね。ご迷惑じゃないかしら」
「いえ、迷惑なんてとんでもないです。僕のほうが千紗さんに色々助けられています」
「ちょっとにぎやかだけど、ゆっくりしていってくださいね」
その後も千紗の親族に囲まれて、酒をぐいぐい飲まされた。
「男はスタミナだ。今夜はゆっくりしていけ」
最後、叔父さんにスッポンドリンクまで渡される。
「ごめんね。うちの親族うるさくて。あまりお客さん来ないから興奮したみたい」
あまりの喧騒にうんざりした千紗に連れ出され、外へ出た。
まだ夏の終わりだが、北海道の夜はひんやり冷たい。