完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
 会社に着くなり、井村に呼ばれ会議室へ向かう。立花が後ろからじとっとした目で見ているのを感じた。
 ──女の嫉妬ほど恐ろしいもんはなかよ。
 オカンの言葉が身に染みる。

「あのね。色々上と会議したんだけどさ。高倉さん仕事は早いし正確だし、ちょっとバイトから社員にどうかなって。いきなり正社員ってわけにはいかないから、まずは契約社員ってことで。どう?」
「あの、ここの会社副業とかNGですよね?」
「いや、許可があればできるよ」
「ちょっと社員になると残業なんかもあって、時間が足りないかもしれませんので、この話はなかったということで、せっかくのお話ですが申し訳ございません」
「ちょっと待って。副業はなんとかできるかもしれないから」
「でも……」

 会社に動画のことを知られたら困る。

「正社員になったら、ボーナスもあるし安定もするよ」
「いや、自分安定より一発当てたい派なので」

 怪しい副業をしてそうな発言をしてしまったが、実際怪しいことをしているし、会社ではもう変人扱いされているから、今さらどう思われてもいいやと開き直る。
< 38 / 304 >

この作品をシェア

pagetop