完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
それきり下を向いたまま、千紗は言葉を発しなかった。無言で紹興酒を飲んでいる。そういえば、千紗は自分でも酒癖が悪いから、家で一人で飲むようにしていると言っていた。それに記憶もよく飛ばす。
──結構飲んでるな。
もう少し一緒にいたいけれど、心配になってきた。
「帰ろうか。送っていくよ。高倉さんW駅だよね。俺も実は近いからさ」
断られると思ったのに、千紗はなにも言わなかった。
店を出ると、もうすっかり日が暮れている。夜道を歩いていくと、千紗はすでに千鳥足だった。
ふらふらの千紗の腰を支えて歩くが、拒否しなかった。
「なんで私に構うんですか」
「気になるから」