飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ようやく自宅マンションの階下につくと、前髪からピチョンと雫が落ちた。


 帰って洗濯物取り込んで、洗い直して…部屋干しで乾くかな。

 ごはん、そう、今日の夕飯の副菜は、



『いいなー顔がいいって得だよね〜』



「……」

 

 私は階段をあがりながら首元のネックレスチェーンを探す。


「……ぇ」


 ない


 ヒヤッとした次の瞬間、学校を出た時のことを思い出した。

 ……そうだ。校門に生活指導の先生が立ってて、没収されちゃったら嫌だからあわてて鞄のポケットに……


「……え?」


 私は踊り場にしゃがみこんで中のものを全部取り出してそれを探す。


「……ない」


 確かに鞄のポケットに入れた。

 私は鞄をひっくり返して血眼になってそれを探す。

 ……やっぱり、

 
「ない……っ」


 体がどんどん冷たくなっていくのを感じながら、私はさっきアスファルトにひっくり返っていた鞄の姿を思い出した。


 ……落とした?

 
 ヒュッと喉が鳴った。


 私は荷物を急いで直して階段を駆け上がり、鍵を取り出して家の玄関を開ける。
< 105 / 327 >

この作品をシェア

pagetop