飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 私は夏宮くんが見えないところに行ったのを確認して、慌てて玄関のドアを開けた。

 見るとやっぱり高木さんだけでなく、下の階の蓮田さん、田村さんもいた。


「凛ちゃん? なんか悲鳴が聞こえたけど……どうしたの?大丈夫?」

「大丈夫です!お騒がせしてごめんなさい、えっと……」


 まだ心配そうな顔をする高木さんたちに、何か言い訳しなくちゃと、まだパニック状態の頭で懸命に考える。


「あの、えっと……Gが!そう!Gがいて!」


 私は嫌われ者の名前をあげてごまかすことにした。


「え、ひど」


 夏宮くんの小さい声がした。

 
「「え?」」


「っ、」


 夏宮くん〜〜〜!


「あっ、でも!でももう駆除しましたので!大丈夫です!はい!」

 高木さんたちがリビングの方を覗き込もうとするのを、私は全身を使ってガードする。

「いま、何か声が……?」

「テレビです!ごめんなさい、音量大きかったかも〜あはは」

「あら、そう……?」

 そこでおばさまたちのエプロンが目について、私は話を()めにかかる。

「今夕飯の準備中でしたよね!? ごめんなさい、忙しい時間に騒がしくしちゃって!」

「いいのよ~、そんなの。凛ちゃんが無事でよかったわ。なにかあったらすぐに言ってね」

「はい! ありがとうございます」

 おばちゃんたちに手を振って、私はニコニコ笑いながらドアを閉めた。


< 44 / 327 >

この作品をシェア

pagetop