飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「めっ……ちゃおいしい。白いご飯も、なすの味噌汁も、肉野菜炒めも漬物も……全部、今まで生きてきた中で一番おいしい……」

「そ……そっか、よかった」

 その後も夏宮くんは一口食べるごとに感動してるみたいで。

 その大袈裟ともとれるリアクションに私は嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。

 
「……ずっと何も食べてなかったの?」

 夏宮くんは私の質問に口をもぐもぐさせながらうんうん、と首を縦に振った。

 そして水を口に含みゴクン、と飲み干すと、「俺の地獄の一夜の話、聞いてくれる?」と箸を置いた。

「学校から家に帰る途中、急にめまいがして気失って。 目覚めたら猫になってんだよ? その時点で意味わかんねーじゃん? 夢見てんのかと思ってその辺にいた人にすいませーんって声かけてみたら化け猫ー!って逃げられちゃってさ。 その後ボス猫に目つけられて追いかけられるわ、バイクに轢かれそうになるわ、保健所に連れてかれそうになるわで……ほんっとに猫のまま死ぬかと思った」

< 49 / 327 >

この作品をシェア

pagetop