飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 押し問答してる間も夏宮くんは腕の力を緩める気配はなく、夏宮くんの温もりや感触、匂いに、私は息の仕方もわからないまま目をぐるぐる回し始める。

「な、夏宮くんっ!タイム!一旦作戦会議しよう⁉︎」

 私の体を閉じ込めるように巻かれた腕をテシテシ叩いてアピールすると、


「やだ」


 本日二度目の却下。


「なんで……⁉︎」

「だって凛、どうせ話したって猫になってとしか言わねーじゃん」

「それはそう!」

「だからやだ。諦めてハグされてなさい」

 夏宮くんはそう言ってまたぎゅーっと私を抱きしめた。

 なんて横暴な……‼︎

 こんなの心臓がいくつあっても足りない!

「でも、でもそれにしてもハグじゃなくても良くない⁉︎ 普通に肩とかに手を置いてもらえれば、」

「やだ」

 本日三度目の以下略。

「なんで⁉︎ 夏宮くん、なんで⁉︎」

「ハグしたいから」

「え⁉︎理由になってないよ……⁉︎」

「凛の触り心地がいいのがいけない」

「⁉︎⁉︎⁉︎」

 夏宮くんは、どうしたらいいかわからず涙目になる私に構うことなく、スリ、と頬擦りをした。


 ……夏宮くんの取扱説明書、その三。

 くっつき方が、エグい。


「ははっ、動揺する凛かわい」


 どうしよう、おばあちゃん。

 私、近いうちに心臓の酷使でおばあちゃんの元へ行くことになるかもしれません。
 

 
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