飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ……夏宮くんはかしこい。

 私と比べてしまったら、ほぼすべての人がかしこい人になっちゃいそうだけど。

 こうして私と暮らす前から、私が本当は高嶺の花なんかじゃないって気付いてたみたいだし。

 聞けば夏宮くん、クラスで一、二を争う成績らしい。

 どんなに必死に勉強しても平均以下の私からすると、雲の上みたいな話で目がチカチカしてくる。

 ……それだけじゃない。

 夏宮くんは運動もできる。

 こないだの体育の50メートル走では、陸上部より速いと話題になっていた。

 ちなみに私は全力で走ってクラスで後ろから二番目で、先生にとても体調を心配された。

 
 夏宮くんこそ、紛うことなき文武両道。

 エセ文武両道の私とは違う。

 加えてこのお顔のよさと、フランクな性格。

 なるほど、モテないわけがない。

『心って彼女作らないもんな』

 不意に今日、教室で聞こえてきたクラスの男の子の声がよぎった。

 
「……だからグラフはこうなるわけ」

「……」

「凛?」

「……!」

 全然聞いてなかった。

「プハッ、はー、はー、」

「なんで息切れ?」

「息すんの、忘れてて……っ」

「そんなことある?」

 せっかく教えてくれてたのにごめんなさい。

 夏宮くんの横顔がかっこよすぎて、触れてる腕にドキドキしちゃって……その上、彼女作らないってどういうことだろう?って疑問で頭がいっぱいになってました、なんて言えないので、私はごまかすようにヘヘ、と笑う。

「ごめん、もう一回」

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