悪役令嬢リセルの恋
「笑わないでください。けがの心配をしてなにが悪いのです。それにこんなことってなんですか。とても重要なことでしょう」
怒って見せるけれど、クロードの笑顔は消えない。
子供のように騒いで泣いてしまったことが気恥ずかしくなり、リセルは染まった頬を隠すようにうつむいた。
「それより、早く手当てをしないと。傷口から菌が入ったら大変です、急いで薬を手に入れましょう」
「それには及びません。青狼騎士団長のところに戻ればいいのですから。彼は常に軟膏を持っていますので。……申し訳ございません。この先護衛できず、大変不本意なのですが、これにて失礼いたします」
リセルの手を取ったクロードはそっと指先に唇を落とす。
フードから覗く彼の青い瞳がリセルの緑の瞳を捉え、ふわりと微笑んだ。
「また、お会いしましょう」
彼の態度と言葉に胸が高鳴ってしまい、どう返事をしたらいいのか。リセルは声を出すこともできず、ローブをなびかせて背中を見せた彼を見つめていた。
「……クロードさま」
ぼそっと口にした声はとても小さく、彼の耳には届かない。
──また、だなんて……。
足早に去っていくクロードを、リセルはキスの落とされた指先を握りしめ、ときめく胸を押さえながら見送った。
怒って見せるけれど、クロードの笑顔は消えない。
子供のように騒いで泣いてしまったことが気恥ずかしくなり、リセルは染まった頬を隠すようにうつむいた。
「それより、早く手当てをしないと。傷口から菌が入ったら大変です、急いで薬を手に入れましょう」
「それには及びません。青狼騎士団長のところに戻ればいいのですから。彼は常に軟膏を持っていますので。……申し訳ございません。この先護衛できず、大変不本意なのですが、これにて失礼いたします」
リセルの手を取ったクロードはそっと指先に唇を落とす。
フードから覗く彼の青い瞳がリセルの緑の瞳を捉え、ふわりと微笑んだ。
「また、お会いしましょう」
彼の態度と言葉に胸が高鳴ってしまい、どう返事をしたらいいのか。リセルは声を出すこともできず、ローブをなびかせて背中を見せた彼を見つめていた。
「……クロードさま」
ぼそっと口にした声はとても小さく、彼の耳には届かない。
──また、だなんて……。
足早に去っていくクロードを、リセルはキスの落とされた指先を握りしめ、ときめく胸を押さえながら見送った。