悪役令嬢リセルの恋
 同情してしまうけれど、魔法使いが現れれば幸せまで一直線なのだ。それまで、頑張って耐えてほしいと切に願った。

「さあ、美しい娘たち、舞踏会に行っておいで。いいかい、絶対に殿下を射止めるんだよ」
「はい、お母さま。私にお任せくださいな。必ず、殿下のハートをつかんできますわ」

 姉が自信たっぷりにのたまい、ツンと鼻を上げる。

「リセル、おまえもだよ。金持ちの令息を捕まえるんだ。それと、しっかり姉をサポートしておいで」

 リセルはうなずき、姉とともに馬車に乗り、舞踏会に向かう。
 ──クロードはもう来てるのかな。
 蝶のヘアアクセサリーは、ダンスパートナーの約束の証。きっと今夜、彼は身分を明かしてくれるつもりだろう。
 そうしたら、リセルも勇気を出して告白しようと思う。
 皇宮には馬車の列ができ、粛々と舞踏会場へと吸い込まれていく。
 指示されたところで馬車が止まり、姉に続いて馬車から下りると、きらびやかな宮殿に目を奪われた。

「さすが、帝国の宮殿ね……」
「当然よ。これくらいでなくては、威厳がないわ」

 姉はリセルにヒールな顔を近づけ、「それより」と言葉を継いだ。
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