悪役令嬢リセルの恋
「今夜リセルがやること、分かってるでしょうね。姉の私を引き立てること。間違っても、私を差し置いて貴族令息とダンスをするんじゃないわよ。誘われたら断って、全部私によこしなさい。特に、殿下と踊ったら承知しないから」
リセルはため息をつきながら「わかってる」とつぶやいた。
姉はいつもこうだった。
リセルの外見は華やかで、社交場では目立つ存在だ。何度か姉と一緒にパーティに出たが、リセルは男女問わず注目を集め、令嬢ばかりでなく令息からも声をかけられる率が高かった。
姉が定めた令息にリセルが声をかけ、会話を弾ませる。良い雰囲気になったところで姉が割って入り、自分に気を向けるようにするのが姉のやり方だ。
しかも『リセルは性根が悪くて、いつも他家のご令嬢をいじめて……姉の私も困ってるんです』と、しくしくと泣いて見せる。
令息たちの同情をひき、悪評を全部リセルに押し付ける。
実際は姉が他家のおとなしい令嬢をいじめ、リセルは傍観していただけだ。
──傍観してるのも悪だと言えばそうだけれど。
ここひとつきくらい、リセルはお茶会をはじめとする社交界には出ていない。でも、姉が悪評を広めているのは知っている。
おかげで、リセルは社交界ではシルフィード家の悪女と呼ばれている。ただでさえ金遣いの荒い伯爵夫人のせいで、没落寸前とも言われるシルフィード家の悪評が収まらないのに。
リセルはため息をつきながら「わかってる」とつぶやいた。
姉はいつもこうだった。
リセルの外見は華やかで、社交場では目立つ存在だ。何度か姉と一緒にパーティに出たが、リセルは男女問わず注目を集め、令嬢ばかりでなく令息からも声をかけられる率が高かった。
姉が定めた令息にリセルが声をかけ、会話を弾ませる。良い雰囲気になったところで姉が割って入り、自分に気を向けるようにするのが姉のやり方だ。
しかも『リセルは性根が悪くて、いつも他家のご令嬢をいじめて……姉の私も困ってるんです』と、しくしくと泣いて見せる。
令息たちの同情をひき、悪評を全部リセルに押し付ける。
実際は姉が他家のおとなしい令嬢をいじめ、リセルは傍観していただけだ。
──傍観してるのも悪だと言えばそうだけれど。
ここひとつきくらい、リセルはお茶会をはじめとする社交界には出ていない。でも、姉が悪評を広めているのは知っている。
おかげで、リセルは社交界ではシルフィード家の悪女と呼ばれている。ただでさえ金遣いの荒い伯爵夫人のせいで、没落寸前とも言われるシルフィード家の悪評が収まらないのに。