悪役令嬢リセルの恋
「どうして、貴賤を問わずに変更したのですか?」
「きみが言っただろう。貴族は平民を大切にするべきだと。俺もそう思う。だが両者の隔たりをなくすのは簡単じゃない。だからまずは、舞踏会で貴族と平民の交流が持てるようにと考えたんだ」
「試みは失敗ですわ。舞踏会には平民といえども裕福な家のお方しか来られませんし、来ていても気後れして、彼らは彼らで固まってましたもの。まずは、町のお祭りのような気楽な催しから試みないと」
「……やはりきみだな。的確な意見を言ってくれる。身分を問わず公平に人と接するし、ときには強者にも恐れずに意見し、弱者を思いやる心もある。リセルは俺の理想とする女性だよ」

 クロードはスッとリセルの前で跪き、手を握った。

「リセル・シルフィード嬢。愛している。私とともにより良い国を作っていこう。私と結婚してほしい」

 突然の求婚に、リセルは驚き戸惑ってしまう。
 もちろん彼を愛しているし、ずっとそばにいたいと思う。けれどシルフィードの悪評がリセルの幸せに影を落とす。

「……私でいいのですか。リセル・シルフィードは、社交界でも評判の悪女です。伯爵家も没落寸前ですし、皇家の評判を落としてしまいますわ」
「そんなことは問題ない。今の皇后も『彼女の通った後には打ちひしがれた令嬢の涙で川ができた』といわれたほどの悪女なんだ」
「ええっ、皇后さまが?」
< 46 / 57 >

この作品をシェア

pagetop