悪役令嬢リセルの恋
【皇太子妃決まる! セドリック皇太子殿下が見初めたのは、リセル・シルフィード嬢だった!】
 新聞の見出しを飾ったのは、舞踏会の翌日だった。

「リセル、皇太子殿下を捕まえるなんて、さすが私の娘だよ!」

 伯爵夫人はほくほくの笑顔でリセルをほめちぎった。
 シルフィードの屋敷には、毎日のように皇家から馬車一杯になるほどの贈り物が届いている。金貨、ドレス、花、宝石。どれもリセルにあてたものだ。

「リセルのおかげで、これからは存分に贅沢ができるねぇ」

 プレゼントの山を見る伯爵夫人の目がらんらんと輝き、リセルは贅沢をすることしか頭にない夫人に対し苦笑していた。

「どれ、これには何が入ってるのかねぇ?」

 夫人が積まれた箱に手を出そうとすると、すかさず細い腕に遮られた。

「贈り物はリセルさまのものです。夫人はお手を触れないでください」

 ぴしゃりと告げたのはリセル専属の侍女だ。
 求婚を受けたリセルは皇家の保護下に入ったということで、クロードが三人の侍女と二人の護衛騎士を送ってきたのだった。

「侍女ごときがなに言ってんだい! 私はリセルの母親だよ! 娘に届いたものは親のモノなんだ!」
「たとえ、母君であっても手出しを禁じると、皇太子殿下より言付かっております。禁を破れば、護衛騎士の抜剣もやむなしと」

 夫人をギロっとにらむのは、青狼のアクセルだ。その恐ろしい気迫に、夫人もすごすごと引き下がらざるを得ない。
 舞踏会の夜にプロポーズを承諾した後、リセルとクロードはいろんな話をした。
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