悪役令嬢リセルの恋
 大公家の使いが訪ねてきたのは二日後のことだった。
 シルフィード家の令嬢全員と会いたいという伝言を受けたが、応接間には姉とリセルしかいない。

「シルフィード家のご令嬢はおふたりですか?」
「はい、ふたりとも私の娘でございます」

 緊張しているのか、夫人がちぐはぐな返答をするので、大公家の使いたちは顔を見合わせている。
 大公家の使いは三人。執事と騎士ふたりだ。騎士とはいえ、ローブを着てフードを被っている。リセルはそのうちの一人が気になっていた。

「リセル嬢は皇太子殿下の婚約者さまでございますね。このたびはおめでとうございます」

 丁寧な祝いの言葉に、リセルも笑顔で礼を述べた。

「あの、公子さまは来られないのですか?」

 頬を染めた姉がおずおずと質問している。

「はい。来られません。ですが、確認が取れればお会いできるでしょう」
「それで、確認とは何でございますの?」

 夫人が食い気味に質問をした。はやる気持ちを抑えきれないらしい。

「確認というのは、こちらでございます」

 執事がうやうやしくテーブルの上に置いたもの。
 キラキラと輝く透明なガラスの靴だった。

「……これを?」
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