悪役令嬢リセルの恋
「私は、ひとめぼれをしたあなたを、ずっと探していたのです。私とともに大公国へ行きましょう。妃となってほしいのです」
「そんな!」と叫んだ姉が公子のもとに駆け寄った。
「お待ちください! これはなにかの間違いです! 私です、私なんです。この靴が履けるのはシンデレラなんかじゃない、私です!」
涙を見せて叫ぶ姉を、夫人が庇うように肩を抱いた。
「そうですとも、シンデレラは舞踏会に行っていませんよ。だって、私が部屋に閉じ込めたのですから、間違いございません」
「……閉じ込めた?」
険しくなった公子の表情に夫人がびくっと体を震わした。夫人が失言したと気づいても遅く、公子のまわりに漂う空気がどんどん冷たくなっていった。
「さっき、リセル嬢もそう言っていましたね。屋根裏部屋に閉じ込められていると。いつもそうしているのですか!」
「そうじゃありません、たまたまそうなっただけで」
夫人の言い訳は空回りするばかりで、逆にシンデレラを虐げているのを告白しているようなものだった。
「これ以上たわごとを申すなら、その口をきけなくしましょうか」
公子がすさまじい気迫で剣を引き抜き、シンデレラが「お願いです。おやめください」と止めた。
「愛する彼女のために、今はやめておきましょう。ですが、次はありません」
凄みを増した公子の言いざまに、「ひいぃっ」と、悲鳴ともつかない声を出した夫人と姉がぶるぶる震えて抱き合っている。
「そんな!」と叫んだ姉が公子のもとに駆け寄った。
「お待ちください! これはなにかの間違いです! 私です、私なんです。この靴が履けるのはシンデレラなんかじゃない、私です!」
涙を見せて叫ぶ姉を、夫人が庇うように肩を抱いた。
「そうですとも、シンデレラは舞踏会に行っていませんよ。だって、私が部屋に閉じ込めたのですから、間違いございません」
「……閉じ込めた?」
険しくなった公子の表情に夫人がびくっと体を震わした。夫人が失言したと気づいても遅く、公子のまわりに漂う空気がどんどん冷たくなっていった。
「さっき、リセル嬢もそう言っていましたね。屋根裏部屋に閉じ込められていると。いつもそうしているのですか!」
「そうじゃありません、たまたまそうなっただけで」
夫人の言い訳は空回りするばかりで、逆にシンデレラを虐げているのを告白しているようなものだった。
「これ以上たわごとを申すなら、その口をきけなくしましょうか」
公子がすさまじい気迫で剣を引き抜き、シンデレラが「お願いです。おやめください」と止めた。
「愛する彼女のために、今はやめておきましょう。ですが、次はありません」
凄みを増した公子の言いざまに、「ひいぃっ」と、悲鳴ともつかない声を出した夫人と姉がぶるぶる震えて抱き合っている。