悪役令嬢リセルの恋
 リセルは首を振った。憑依してきたリセルにとって、娘としての情は皆無なのだから。
 姉は放心状態で座り込んでおり、リセルの侍女がソファに座らせている。
 大騒ぎだった応接間にも静寂が戻る。
 リセルはクロードと一緒に、公子とともに屋敷を出るシンデレラを微笑みで見送った。

「夫人たちの処分は俺に任せてもらえるか?」

 クロードに問われたリセルは考えるまでもなく、うなずいた。
 その後夫人と姉は大公家を欺こうとした罪と時期皇族のリセルを侮辱した罪で、クロードによって爵位をはく奪され平民となった。
 爵位はリセルが継ぎ、皇太子妃になっても家門は残ることとなる。

「子供をたくさん産んだら、そのうちの一人が家門を継げるから」

 頑張ろうね、と笑顔でのたまうクロードが少しだけ怖く見えたのは、誰にも言えない秘密である。
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