悪役令嬢にならないか?
 アルヴィンは自分に近づいてきたミエルからそれとなく情報収集をし始めるが、学園の生徒ではない彼にとっても、入手できる情報は限られていた。
 そこでリスティアに調査を頼むこととした。
 リスティアが確認したところ、彼女は足元に力が入らないほどの虐待を受けているのではという疑いを持つ。
 リスティアもエリーサも、ミエルを救いたいと思っていた。
 その結果、卒業パーティーを利用することにしたのだ。ここまで長かったと、ウォルグはしみじみと思っていた。
 卒業パーティーといえば悪役令嬢の断罪がつきものである。
 そういった物語になぞらえ、アルヴィンはミエルをエスコートし、パーティー会場に現れた。
 エリーサなんかは緊張のあまりに倒れそうになっていたが、リスティアは堂々としたものだった。象牙色の髪を妖艶にまとめあげ、きりっとした意思の強そうな碧眼も、はっきりとした色めいた唇も、今までのリスティアとは一味違っていた。
 トクンと、心臓が大きく震えた。見れば見るほど、彼女に魅せられる。
 ウォルグが彼女と共に過ごした時間は、無駄ではなかった。半年前の彼女とは違う彼女がここにいる。その前向きさとひたむきさは、ウォルグの心をますます魅了し、捕らえて放さない。
 リスティアのおかげでオスレム男爵の悪事は明るみになり、すぐさま彼の屋敷に調査が入り、彼は爵位剥奪となった。
 養子であったミエルや他の子供たちは、孤児院へと戻る羽目になってしまったが、ミエルは学園で学んだ知識を生かして孤児院の運営側として働き、里親を希望する者たちの調査をしっかりと行いたいと口にしていた。

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