わけあり男装近衛騎士ですが、どうやら腹黒王太子の初恋を奪ってしまったようです~悪役令嬢回避のつもりが、いつの間にか外堀を埋められていた件について~
「ひゃっ」
 おもわず女性のような高い声に、両手で口元を押さえた。
「夜会で一緒に踊ったケイト嬢も好きだが、この場にいて、こうやってオレを構ってくれるケイトも好きなんだ。どっちかを選ぶなんてできない」
「離れてください」
「嫌だ。結婚してもここにいてくれ。こうやって、オレの側にいて欲しい」
「殿下」
 ケイトは無理やりシュテファンを引き離しにかかる。だが、彼はがっしりとケイトに抱き着いていて、離れようとはしないし、シュテファンの力が強い。
「殿下っ」
「君はこんなに細いのに、ずっとオレの側でオレを守ってきてくれた。今更手放すことなどできないだろう?」
「殿下。私は男です。いつからそのようなご趣味に? もしかして、ケイトのことをカモフラージュに?」
「何を言っている、ケイト。ケイトのことをカモフラージュにするつもりはない」
 シュテファンは抱き着いていた腰から離れ、ケイトの前にすっと立ち上がった。
 それよりも今、彼がケイトをケイトと呼んだことのほうが気になった。
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