わけあり男装近衛騎士ですが、どうやら腹黒王太子の初恋を奪ってしまったようです~悪役令嬢回避のつもりが、いつの間にか外堀を埋められていた件について~
「殿下。殿下は私を妹と勘違いしておりますか?」
「ケイトに妹はいない。ケイトにいるのは兄のケビンだろう?」
「ですが、今、私のことを……」
「君はケイトだろう? 出会ったときからずっと」
 シュテファンは、どことなく熱を孕んだ目でケイトを見下ろしていた。
「もしかして、ずっと? ご存知でしたか?」
「ああ……」
「いつから?」
「出会ったときから」
「ずっと?」
「ずっとだ」
「私が兄のケビンではなく、妹のケイトであると、わかっていたと?」
「そうだ」
 シュテファンが一歩ケイトに近づいた。ケイトは一歩下がる。
「ケイト……。オレは君のことが好きだ。オレと結婚して欲しい」
 揺れ動く翡翠の瞳は、しっかりとケイトを見つめていた。
「なぜ、私なのです?」
「一目ぼれだ。従騎士として騎士団に入団した君は、凛として格好よかった。男のオレから見てもほれぼれするほどだ。そして君があのトレイシー侯爵の娘だと知って、納得した。息子であるケビンは、ずっと身体が弱くて領地で療養していると聞いていたからな」
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