わけあり男装近衛騎士ですが、どうやら腹黒王太子の初恋を奪ってしまったようです~悪役令嬢回避のつもりが、いつの間にか外堀を埋められていた件について~
 シュテファンからの思いがけない告白に、ケイトはヒシッと石のように固まった。固まり過ぎて、呼吸の仕方すら忘れてしまうほど。
「おい、ケイト。大丈夫か?」
 シュテファンの言葉で我に返り、大きく新鮮な空気を吸い込んだ。
「シュテファン殿下は……。一体どこまでご存知なのですか?」
「どこまで? どこまでと聞かれたら、全部と答える。ケビンがケイトとして領地で療養していたのも、ケイトがケビンとして従騎士になったのも、全部知っている」
「私を……、罰するつもりですか? 性別を偽り、ケビンの代わりとして騎士団に入団したことを……。」
「そのつもりはない。……、いや、脅しの材料にさせてもらおうか」
 シュテファンが一歩近づいた。ケイトは一歩下がろうとするが、背中に彼の執務用の机があり、これ以上は下がれない。
「ケイト……」
 情欲がたぎる瞳で、シュテファンはケイトを見下ろすと、その顎を指で撫で上げる。
「このことを黙っていて欲しかったら、オレと結婚をしろ……」
 ケイトはシュテファンを見上げる。いつもへらへらとしている彼とは異なる、真剣な眼差し。それだけ、本気ということなのか。
「殿下は……。それでよろしいのですか? 脅された私が『はい』と言って受け入れて、嬉しいのですか?」
「ああ、嬉しいね。卑怯だと罵ってもらってもかまわない。オレはどんな手を使ってでも君を手に入れたい」
「どうして、そこまでして?」
 なぜシュテファンはケイトにそこまで思いを馳せるのか。
「オレは、君を死なせたくないからだ……」
 ケイトが何か言いかける前に、シュテファン自身の唇によって口を塞がれた。

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