【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました
 ちょっと前まで『オワコン』と言われていたのに、今や私は時の人。

 自分の名前をネット検索すれば、
 
『麗華は私生活でも悪女?』
『リアルでも性格悪いという噂は本当か?』
『共演者キラー、悪役女優・麗華の本性に迫る』

 などのウェブ記事が大量に出てくるほど、有名人になっていた。

 
 
 控え室に入ると、マネージャーが「次の仕事決まりました」とホクホク顔で報告してくる。

「また悪女?」

 皮肉たっぷりに言えば、マネージャーの隣に座っていた母が「えっ、なに、不満なの?」と眉間にしわを寄せた。

「じゃあ、逆に聞くけど。ママは不満じゃないわけ? 自分の娘が、雑誌とかバラエティで『悪女』っていじられてるんだよ」

「名前を売るチャンスじゃないの」
 
「『実生活でも性格悪い』とかネットに悪口書かれて、嫌いな女優ランキングにも入っちゃってさ」

「悪口なんて、いちいち気にしてたら生きていけないわよ! お仕事もらえるだけ、ありがたいと思わなきゃ」

 そうですよねぇ、と母がマネージャーに同意を求める。
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