念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される
「大丈夫か?」

眼鏡の下で心配そうに彼の眉間に皺が寄る。

「ハ……イ」

私から出た声は散々喘ぎすぎたせいか、酷くかすっかすだった。

「無理しなくていい。
水、持ってくるな」

起き上がろうとする私を静止し、彼がベッドから離れていく。
すぐに水の入ったグラスを手に戻ってきた。
私を支えて起こし、グラスを渡してくれる。
喉は渇いていたみたいで、あっという間に一杯がなくなった。

「まだつらいだろ?
横になっとけ」

先程とは打って変わって、優しく王子はまた、私を寝かせてくれた。
そのまま枕元に座り、なにか言いたそうにグラスを弄んでいる。

「……その。
やりすぎた。
わるかった」

グラスを見たままぼそりと彼が落とす。

「好きでもない男に愛していると言えと言われても、言えるわけないよな」

後悔しているのか、はぁーっと深いため息を王子はついた。

「その。
……違うんです」

寝返りを打ち、ちょんと彼のシャツを摘まむ。
王子はどういう理由かわからないが、私を真剣に想ってくれている。
なのに私の事情を話さないのはフェアじゃない。

「人が、特に男の人が怖いんです」

私の声を聞き、びくりと大きく彼の背中が震える。
そしておそるおそるといった感じで振り返った。

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