念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される
「なら、本当に酷いことをしてしまった。
すまない。
詫びて済む話でもないが」

王子の顔は深い後悔で染まっている。
噂ともゲームとも違い、本当はいい人なのだと感じさせた。
ううんと首を振り、さらに口を開く。

「ずっと昔。
シャローラとして生まれるより前に、男の人にこっぴどく裏切られ……る、夢を見ました」

前世の話だというのは誤魔化した。
そんなの、信じてもらえないどころか、おかしな人扱いされかねない。

「その夢は酷くつらくて、現実でも同じ思いをするんじゃないかと恐れました。
裏切られてつらい思いをするくらいなら、最初から誰からも好かれなければいい。
そう考えて……」

思惑どおり上手くいき、オーガスト王子からは婚約破棄され、今の私は完全に嫌われ者だ。
しかしなぜか、コーデリック王子から熱烈に求婚されている。
それが、わからない。

「やっぱりあれは、演技だったんだな」

王子の手が私を抱き起こす。
そのままぎゅっと抱き締められた。

「コーデリック王子はなぜ気づいたんですか」

今の姿を見ればバレるのはわかる。
けれど王子の口ぶりからはもっと前から知っているようだった。

「シャローラは演技が下手だからな」

「下手……」

もしかして、周囲にもバレバレだった?
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