念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される
「母上が亡くなって、俺はここに半ば幽閉された。
俺なんかに祈られても迷惑だろうが、密かにシャローラの幸せを祈っていたよ。
でも、なにも理解しないオーガスタに婚約破棄されたと聞いて心配していたら、……お前がここに来た」

うっとりと王子の手が、私の頭から頬を撫でる。

「お前に救われたあの日から、俺はお前を愛している。
俺がシャローラを幸せにするし、絶対にお前を裏切ったりしない。
もし、裏切ったときは……」

王子は私の手を取り、その左胸に触れさせた。

「この心臓を、お前の手で止めてくれ」

じっと、レンズの向こうから王子が私を見つめている。
その目は強い決意で、少しも揺るがない。
それに、心臓が大きくどくんと鼓動した。

「裏切るなら、私が気づかないうちにわからないように殺してください」

きゅっ、と胸に触れる手を握りしめる。

「裏切られたと知って、つらい思いをするのはもうイヤ」

涙で濡れた目で王子を見上げると、再びぎゅっと強く抱き締められた。

「俺は絶対にシャローラを裏切らない。
この命にかけて誓う」

「……はい」

コーデリック王子の胸に縋って泣きじゃくった。
あの人に裏切られてから固まっていた心が解けるかのように、涙はいつまで経っても止まらない。
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