□TRIFLE□編集者は恋をする□
夢中でカメラで色んなものを試し撮りしていた私の後ろで、片桐が眠そうに大きなあくびをした。
ふと、今は何時なんだろうと腕時計を見る。
時計の針はてっぺんをとっくに過ぎ、深夜一時を指していた。
「うわ、もうこんな時間だ!」
「あぁ、もう一時か……」
片桐も自分の腕に付いたごつい時計を覗き込んで身体を伸ばす。
「ごめん!また暴走してこんな時間までつき合わせて……!」
両手を合わせて頭を下げると、長い指がこつんと私のつむじを叩いた。
「バーカ。俺が教えるって言ったんだから、謝る事ないだろ」
片桐は素っ気なくそう言って伸びをすると、立ち上がりカメラやライトを片づけ始める。
その背の高い後姿を見ながら、私はこの人とセックスしたんだよなぁとぼんやりと思った。
片桐の態度を見ているといつも通りすぎて混乱する。
なんか私だけ動揺して意識して、馬鹿みたいだ。
それとも、大人になれば付き合っていなくてもセックスするのなんて、当たり前の事なのかな。
もう何年も恋愛から遠ざかって来た私にとっては、あの夜の事は大事件だったんだけどな。
そんな事を考えていると、「平井、眠いのか?」と片桐が首を傾げた。