□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
片桐はどんな顔でこのやりとりを聞いているんだろうとこっそり横目で観察したけれど、まったく興味なさそうにうどんをすすっていた。
三浦くんと私と、ひとつ席を空けて片桐。
まるでなにもなかったかのように並んでご飯を食べていた。

私一人、片桐を意識してバカみたいだ。



ガタガタガタ。
強い風が店の扉を揺らした。

「風、強くなってきたね」

「そういえば、天気予報で低気圧が近づいてきてるって言ってたよね」

「天気が荒れそうだから、今日はもうみんな大人しく帰りなさい」

おばちゃんは、私たちの前に置かれたお皿をさっさと片付けながらそう言う。
いい大人になって、こんな風に子ども扱いされるのはなんだか逆に心地いい。
私たちはそれぞれお財布を出してお金を払いながら、素直に頷いて店を出た。


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