□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
「なんでムリ?」

「恥ずかしいからに決まってるでしょ!」

「今更だろ」

慌てる私を見て片桐は小さく笑った。
確かに片桐にはもう体の隅々まで見られてるんだけど、でも恥ずかしい物は恥ずかしい!
ざぷり、と水面が揺れ背後で片桐もお湯に入って来たのがわかった。

「こ、こっち近づかないでよ!」

「はいはい」

呆れたようにそう言いながら、片桐がお湯の中でのびをする。
狭いバスタブの中で、片桐の足が私の腰のあたりに触れて、それだけで飛び上がりそうなほどドキドキした。

「髪、下ろしてるのめずらしいな」

「あ、うん。お風呂上りだったから」

仕事中は邪魔だから後ろでまとめている事が多い私の髪を、片桐が後ろから一筋すくいひっぱった。

「なんか甘い匂いする」

「そう?シャンプーの匂いかな……」

そう言うと、片桐の大きな手が私の肩に触れた。

「きゃ……」

片桐は驚いて首をすくめた私の髪をかきあげるように持ち上げて、あらわになったうなじに唇が押し当てられる。

「ちょっ……!こっちに近づかないでって……んんっ!」

叫ぼうとしたけれど、首筋に優しく歯をたてられて言葉に詰まった。

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