□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「美咲さん、来てくれるそうです。タクシー掴まえて直行してくれるって」

「そう、ありがとう!助かるわー」

三浦くんの報告に、あぁ、本当に来てしまうんだ。とガッカリしてしまった。
そんなくだらない事を考えた自分の頬を、両手でパシンと叩いて気合を入れた。

彼女に会いたくない、なんて言ってられない。
これは仕事なんだから。
今は私情は置いておいて、素敵な誌面を作る事を一番に考えなきゃ。

「新田さん。高速もこの雪で速度制限がかかってると思うので、念のため今のうちにモデルなしでもチャペルの撮影しておいた方がいいですよね」

「そうね。渋滞していたら、到着してからメイクしてドレス着て。きっと日没ぎりぎりの微妙な時間になりそうだしね。せっかく綺麗な雪景色だから、明るいうちに撮りたいんだけどなぁ」


新田さんの言う通り、美咲さんの到着は外が薄暗くなりかけた頃になった。

相変わらず色素の薄い綺麗な肌に、アッシュグレーのさらさらのボブヘアーの美咲さんは、ホテルのロビーに入って来ただけでも、目をひくくらい華がある。

「美咲さん。すいません、突然お電話して来ていただいて」

「あ、いいえ。ええと……」

「平井です」

そう言いながら、名刺を渡す。

「あ、平井さん。この前はどうも」

美咲さんは綺麗に口角を上げて微笑んだ。

< 173 / 396 >

この作品をシェア

pagetop