□TRIFLE□編集者は恋をする□
「落ち着く暇もなくて申し訳ないんですが、さっそくメイクしてもらってもいいですか?」
彼女をメイクさんがスタンバイしている部屋へと通す。
「うわぁ、すごく綺麗な子ね。あの子ならドレスも似合うだろうし、助かるわー!」
「確かに。スタイルもいいし雰囲気ある子だなぁ」
美咲さんをひと目見た新田さんとカメラマンの岩本さんが安心したように笑った。
「ただ、時間が問題ですよね」
「せめて今くらいの明るさがあれば、なんとか外景と人物一緒に撮影できるんだけどなぁ」
岩本さんは心配そうに窓の外を見る。
雪を降らし続ける鉛色の空は夕暮れの時間を向かえ、ゆっくりと暗くなっていく。
あと数十分もすれば、完全に太陽は沈んでしまうだろう。
「せっかく綺麗な新雪なのに……」
新田さんのつぶやきに、ぴんときた。
そうだ。
降ったばかりの新雪ならなんとかなるかもしれない。
「三浦くん!」
「なんですか?」
「お願い、ホテルの人に頼んで、チャペルにキャンドル集めてくれない?」
「え?キャンドルですか?」
「そう!」
「って、平井さんはどこ行くんですかー!?」
三浦くんの声に後ろ手に手を振って、外へと走りだした。